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お客さんもどっと混みませんなガハハ

8月ただの観光旅行記 ~DAY 3~

 良い宿に泊まってしまうと思うのは、チェックアウトするときの名残惜しさですね。なんなら、そちらが良ければ、俺はここで死ぬまで暮らしても良いんだよ……?

 お宿「良いぜ……。毎日宿泊費さえ払ってもらえるならさ」
 ぼく「えへへ、おっぱい」

 さて、見果てぬ夢を思い描いたところ脳に異常をきたしたので現実に戻ります。

 今日は旅の前半の行程で最も長い距離を走ることになっているので、あまり無駄な時間を過ごせません。9時頃には宿を出立して、島根でこれだけは外せなかった目的地「松江城」へと向かいます。
 松江城は築城当初からの天守が残る数少ない城であり、その天守は国宝指定されております。
 城跡が現存する土地といえば大体そうですが、市役所みたいなところとほとんど隣り合う街中に松江城はどーんと構えておりました。駐車場にさっくり車を停めて敷地のなかへ。
 そしてまず目に飛び込んでくるこれ……

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 え。なにこの精緻な石垣かっこよすぎひん、これ……。
 口のなかからエセ関西人が飛び出すこの衝撃。
 歌でいえばまだAメロなのに、もう既にサビくらいメロディーが印象的というこの状況。ミスチルなら「名もなき詩」だし、ジュディマリなら「ドキドキ」だし、放課後ティータイムなら「ふわふわ時間」だし、研ナオコなら「あばよ」じゃん!!(良いのかその喩えで)


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 興奮度の高い石垣の櫓を観たあとも、一ノ門のかっこよさが君にほらLOVEずっきゅんと射抜いていきます。(ゼロ年代の亡霊かお前は)

 そんでまあ、次はサビ。

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やぁ

 今年の「抱かれたい城ランキング」ナンバーワンで良いんじゃないんでしょうか。
 黒く光る・・・雄々しく聳え立った・・・立派な・・・お天天守様・・・///。
 君のお天天天守から僕は……///!(当方は『君の名は。』を実はまだ観ていないしネタバレも踏んでいない希少種です)

 国の宝に泥をかっ飛ばす下ネタはこれ以上やめておくとして、やっぱり城ってかっこいいんだなあとなりましたね。急峻な石垣にせよ天守の櫓の黒塗りにしても意味を持ち、充分な機能を備えつつもいざ佇む姿は美しく、機能美であり造形美という感じで観ているだけで心を持っていかれます。
 俺の心が弱かったらたぶん翌日から城ヲタになっていたと思います。俺は心が強かったので、ヤマノススメの次回の話を楽しみにすることで、城ヲタにひとを変容させようとする怪奇な衝動をこらえました。
 これを読んでいる方が、もし城ヲタになりそうな衝動に呑まれかけたとき、心にヤマノススメを灯してください……。ニコニコ動画でのヤマノススメサードシーズンチャンネルへの加入がおすすめです。現在加入者全員サービスとして応募すると皆さんにヤマノススメステッカーが贈られます……。今がチャンスです……。今がチャンスなのです……なのです……のです……です……。(人力エコー(ダイレクトマーケティングヤマノススメに呑まれた者の末路)

 話が脱線に脱線を重ねましたが、前半の旅のなかでも松江城天守の写真はお気に入りの一枚です。平日の朝イチで向かったこともあり、ほとんど他のお客さんがいなかったため、フレームにひとを入れずにお城だけを撮られたというのが最高に良かったです。自分たちが駐車場に戻っていこうとする頃には、かなりのお客さんが天守のほうへと向かってきており、割と良いタイミングで来てたんだなと感心しました。
 松江城を充分に満喫して、我々は次の経由地へと向かいます。

 旅行前に立てていた次の経由地は「鳥取砂丘」だったのですが、酷暑だし熱いしそんな日に砂漠とかマゾじゃん死ぬのとなったので、第二候補としてあった「大山(だいせん)」に切り替えることになりました。

「東の富士山、西の大山」というフレーズで有名なこの大山は、標高こそ1,729mと富士山の半分にも及びませんが、いざこの大山が佇む土地に来るとびっくりします。
 標高の高い山がある地域というのは、連山や連峰だったりと尾根が連なっていることが多い印象を受けるものの、この大山は(角度によるかもしれませんが)、いきなりこの山だけがでっかく存在して、麓まで緩やかに伸びる山裾は雄大で包容力のある山の存在感を見せてくれます。ぶっちゃけ自分の住む九州には同じタイプの山がないので、高速道路を走る道すがらに見たその景色だけでめっちゃテンション上がりました。

 さて、そんな大山での第一目的地である「大山まきばみるくの里」へ到着。

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ふぉふぉふぉ……フォトジェニック!!

 俺のなかのふぉ行が壊れるくらいに良い景色。(そんな行はない)
「大山まきばみるくの里」雄大な大山をバックにして、このあたりの牧草地に放牧している牛さんの乳製品がいただける貴重な場所でございます。
 自分はまずここで最初のお土産を購入しました。だって「大山ソフトクリームサンドクッキー」めっちゃ美味いんですもん。ソフトクリームみたいな味わいの濃さのホワイトチョコと外側のザクザクしたクッキーの調和は、白い恋人で止まるんじゃねえぞ……💃というような気概を感じますね。
 実際、職場にお届けしたところすごく評判が良かったので、ひとに配る系の山陰土産としては素直にオススメです。

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えいえんのなつ

 夏がここにあるんだよなあ、という大山の景色。そもそも大山って短絡的な山の名前なんなんだよ、ストレートすぎるし調和しまくりじゃんか。確かにきみは包容力に溢れたビッグマウンテンだよ……。
 なーんてなことを思いながら、絶景とともにソフトクリームをぺろぺろしていましたが、コーンまでしかと食べ終えてから山道を走りながら次の経由地へと向かうと、今度は大山の違った側面を目にすることになります。

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鍵掛峠からの景色です

 先ほど見た大山の画像とは趣を異にする、大山のオスの顔です。(その表現やめろ)
 灰色に染まった急峻な山肌が、なんか鬼畜な吊目キャラの目つきに見えてこないかな……(だからそういうのがブログの読み手を減らすんやぞ)
 それはそうと、見る角度が変わった瞬間で一気に山としての表情を変えてしまうというのも大山の魅力なんだそうで、実際に行ってリアルタイムで体感すると、雄大で包容力を感じる大山を観たあとからのこの景色は、国内の山っぽく見えなくてびっくりします。九州で阿蘇や雲仙なんかを見ていても、やはりそれとはタイプが違う印象です。

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 今回の旅で初めて望遠レンズを使って撮った画像です。先ほどのは鍵掛峠からでしたが、これは鬼女台(きめんだい)からになります。
 鬼女台までゆくともうかなり蒜山高原にほど近く、蒜山からかなり長く高速に乗る予定の自分たちには、西日本の旅は半ば終わりみたいな気持ちになります。高速に乗るとここから滋賀県までぶっちゃけ観光レベルの低い文章が連なります。

 米子自動車道蒜山インターチェンジから高速道路に乗ったものの、ガソリン残量に不安があるということで数キロも走らないうちに蒜山高原SAで給油をします。正直なところここから多分300kmくらいはずっと高速を走って目的地直前まで下道に降りることがなかったかと思います。

 これまでの旅路ではあまり高速道路を通っていなかったこともあり安心しきっていましたが、こっからはナビゲーション役の存在が結構重要になります。ジャンクションとかで間違うと致命的なことになるので、分岐が近づくたびにカーナビからの声に耳を澄ませて集中します。音楽の音量を下げてナビゲーションの音量を上げるなど涙ぐましい努力をしつつ、島根からはじまった今日の旅は、鳥取岡山と少しずつ目的地へ向け進んでゆき、街並み感が出る頃には兵庫県に差し掛かっていました。
 兵庫まで来るとそれまでの景色と変化がついてくるせいなのか、そこから意外と時間の経過を感じずに、カーナビは大阪府へ入ったことを伝えてくれました。そこからは一気に車の量も増えるのですが車線そのものも増えるため、運転手のストレス感はさておいて、ごみごみと混んでしまうことはありません。そのあたりは平日であるのとラッシュ時間帯じゃないことが効いているかもしれませんね。
 とはいっても、やはり高速道路を長距離で走る際に全くのトラブルフリーというわけにはいかず、大阪と京都の県境付近で事故渋滞らしきものにハマります。音楽の音量を上げて渋滞のストレスを軽減したいものの、ナビの案内を聴き逃したくはないというアンビバレンツに阻まれて、このあたりは結構な我慢の時間帯です。山本コウタローとウィークエンドのアルバムがひっそりと響く車は、事故渋滞による低速区間を抜けて琵琶湖東岸にある長浜市方面へと進んでいきます。当初の予定ではもう少し滋賀周辺のPA/SAを楽しみたかったのですが、余裕を持てるほどの残り時間もなく、いけるうちにガンガン進もうの精神のもと一行は予定時間になんとか宿へ到着することになります。

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 本日の宿は、琵琶湖東岸に位置する滋賀県長浜市の「千茂登」という料理旅館。

 うなぎや鮎などの川魚料理に、近江牛のすき焼き、そして特に秋の暮れから冬期にかけては天然鴨の料理が自慢の料亭なのですが、宿泊に関しても一日四組受け付けているそうで、事前に連絡したとおり玄関の前に車を乗りつけると、すぐに宿のかたがご案内してくださいました。女将さんか仲居さんか女性のかた二名ほどに小さめの手荷物を渡し、本日宿泊の部屋へと荷物を運んでいきます。

「さて、どちらに金目のもの入ってはります?」という高齢の女将さんのジョークにテンションが上がる。「それは簡単には言えませんねえ……」と返す俺。ただでさえ、リアル関西弁に触れて楽しいのに、なんかドラマのワンシーンっぽい会話の予備水をサクッとくれるのがまた面白い。これだけでここ予約してよかったなと思いましたわ。
 建物自体の歴史は知らないのですが、二階へ向かう階段なんかも急で建築はかなり古いものだと思われます。バリアフリー感はないので高齢で不自由なかただと厳しい部分もあるでしょうが、身体に不安のない人間には問題のあるレベルではなく、昔からある田舎のばあちゃんちに来たみたいな感覚になるんじゃないかと。

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 このお宿に温泉はないものの、近くの国民宿舎の温泉へ送迎するサービスがあり、どうするか迷ったのですが、入りたいときに入れるこの宿の貸切風呂のほうが気楽かと思い、結局送迎サービスは辞退して、部屋に着いてしばらくのんびりしていました。
 さて、そうこうしているうちに夕食の時間を迎えます。

 この宿は割と独特で、食事に関しては食事処に集合でも部屋食でもありません。宿泊する部屋のとなりにある部屋に案内されての個室食になります。
 案内を受けて部屋に入るとすでに前菜その他が用意されており、席についたタイミングで仲居さんがお茶を用意してきてくれて、お酒の注文などを受けてくれます。
 前菜として虹鱒の刺身や鱧の湯引き小鮎の甘露煮など川魚をつついて楽しみつつ、ここで現れるのは、チーズと共に饗される鮒寿司。人生初の対戦となります。
 見た目に熟れてしまったその姿を見てやや腰が引けたものの、鼻に伝わる発酵臭というのは、意外と不快な臭さというよりある種の爽やかさがあります。チーズが隣に添えられてるからかとも思いましたが、鮒寿司のみを単体で口に入れると、香りの大部分はそれ自体から伝わってくるものだと気付かされます。
「うまい?」「まずい?」そんなのどうだっていいじゃないか、俺は人生経験だからすべて諦めて――
 というほど変な代物ではありません。発酵臭が独特なのは間違いありませんが、チーズといっしょに食べると結構美味しいです。香りと味の層がめちゃ深くてまさに珍味です。

 ただ、俺はこの人生でもう一度鮒寿司を食いたいかというと微妙ですね。トラウマでもないし提供されたら食べそうですが、積極的ではないぞい。

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 写真としてはうなぎの蒲焼と鮎の塩焼きの一部なんかが写っておりますが、ふたの閉じたられた鍋の中では近江牛すき焼きが、己の出番をまだかまだかと待ち構えております。
 近江牛すき焼きに川魚づくしに、細かな山菜と郷土料理のあしらいを満喫して、長距離のドライブにやや疲れた我々は、心地よい満腹のなか、22時頃と少し早めではありますが床につくことになりました。

 さて、DAY 4は移動よりも観光に振っています。国宝どころか、世界遺産も登場します。

 いやあ、琵琶湖には美味しいものがいっぱいありましたね。

 せーの、今回も次回ももう内陸部だから釣りとかやんないぞい!(バス釣りでもしろやお前、元々大好きだろ)