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お客さんもどっと混みませんなガハハ

8月ただの観光旅行記 ~DAY 10 &11~ 最終回

 まあ、11日めは実質的に福岡へと帰るだけって感じなのであまりおもしろ要素はないですね。というわけで、この回も合併号であり事実上「尾道編」とでも思っていただければ。

 さて、お世話になった「檜扇荘」ですが、二間の部屋を用意した分快眠度は非常に高かったです。このお宿で出た海苔の佃煮がなかなかに好みのお味で、自分用のお土産として買って帰りました。

 独特のリアス式海岸お景観や地形を楽しみながら伊勢志摩を出発した我々、

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お犬様

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お宿外観(天気の悪さがせつない・・・)

  お盆も終わりのほうにあるときたもので、都会へと戻る方が多いのか、帰路の高速道路のほうがよほど走りやすかったようなイメージがあります。

 意外なほど交通量はないもので、行きの行程ほど苦労もなくすこしずつではありますがら旅の終着地点である福岡へと近づいていきます。全編、BGM担当は俺の仕事でありましたが、同乗者からいちばん評価の高かったものは村下孝蔵「GUITAR KOZO」いう村下孝蔵のギターデュオ構成のライブ作品と研ナオコのベストでした。

 村下孝蔵はほんとシンプルアレンジほど映えるんだ……。ギタリストというか長年のバンマスであったかたとのギターデュオ構成による楽曲がほとんどなわけなんですが、当時の流行りから解放された感じと、村下氏の歌唱の調子が良かったのかどの曲を聴いていてもいわゆるところの喉からCD音質で、特に本人も格別のお気に入り曲だったという「ロマンスカー」なんか最高ですね。CDでは地味に感じられた曲も、ベンチャーズ好きでギタリストとしても評価の高い村下氏の演奏やアレンジにより、とても哀愁を増すことですごく完成度の高い一作となっています。
「踊り子」「ゆうこ」とかはスタジオ版だとコーラスとの掛け合いがやや味つけ濃く感じましたが、そういう不満が全然なくなります。やはり名曲の多いミュージシャンなので、録音が存在しているなら「少女」「花れん」などのアコースティック版も聞きたくなるものですね。とはいえベスト的なアルバムで、選曲された楽曲に不足を指摘されるのはSSW冥利ですね。
 個人的には後期よりも「恋人」的な存在とその不在への概念みたいなのが好きな部分なので、初期のほうが好きだったりします。

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長浜行ったときに撮れなかった琵琶湖(琵琶湖SAより)

 さて、そんな村下孝蔵の話ばかり繰り返していたのは、目的地の尾道のある「広島」が故人である氏の所縁の地であるからというのもあります。

 まあ、その辺はググっていただくとして、研ナオコの「時代(中島みゆきのカバー)」聴くと、中島みゆきが「このひとの才能抜きに、わたしは成功できなかった」とか研ナオコ本人が「この頃はむちゃくちゃ歌上手かった」とか述べるほどで、聴くと割とビビるぞ。ただのすこし顔の面白いなんでもやる女性コメディアンじゃないぞ、たぶん和田アキ子ほど偉そうでもないぞ。個人的に大好きな曲は「あばよ」なんですが、これクソ名曲なので聴いておくと良いですよ。SSWでなくそのかすれ気味に心を掴む歌唱と驚くほど伸びる高音、当時としては抜群のリズム感など地味に天才女性シンガーです。(でもお前それ今回関係ないな

 そんなこんなで、良い曲をいっぱい聴いているうちに尾道に到着いたしました。

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今日のお宿です

 こちらのお宿『竹村家 本館』は明治35年創業という、非常に長く歴史を見続けてきた割烹旅館になります。建物自体が登録有形文化財というこの下手くそな外観写真一発で分かるくらい味のあるつくりをしたお宿になります。建物自体は古いんですけれども、そこ自体に文化財としての価値があるというより、独特の手法を用いた建造法だったりと、そういうかっこよさがところどころに見えます。

 明確に伺うことはできなかったのですが基本的に一日で一組か二組くらいしか宿泊を受け付けていないお宿で、なんでこの時期に予約取れたんだろうっつうベルなんですが、見事予約が取れたこともあり、荷物を置いたら早速のんびりしはじめた同行者を横目に、一眼を持ち尾道の街へと出歩くことにしました。夕食までの時間はあまりなかったので派手なことはできませんでしたが、ここもまた出歩いてお写真を撮るにはとてもコンパクトに良い景色が揃っていて、尾道を含めた瀬戸内を舞台にして撮影される作品が多いことにも納得します。

 勘のいいガキは『かみちゅ!』を思い出そうな。
 ああいうフォトジェニックさが本来はそこら中に転がっています。けれどもいかんせん、俺カメラテクないし『たまゆら』は竹原だったから仕方ねえだろ。俺の写真テクはほっとけ。(この辺では周りにひとが少なかったこともあり、一眼っぽくマニュアルモードでの撮影が多いです

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当時、テレビで有名になった脱走犯はこのへんから上陸したとか

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 やはり映画の街ということでこういった観光客向けにも分かりやすい建物が宿の近くにございました。個人的な興味は薄かったのと夕食までの時間設定の兼ね合いもあり中に入ることなく街中を散策して回ります。

 宿はもう尾道水道に飛び出しているくらいの海っぺりにありまして、中心地まではちょっぴり歩きます。とはいっても健常者にとってはなんの問題もないコンパクトさでところどころに面白い景色を見ることができます。

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な?

 

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 あまり規模の大きくない商店街を横切ると、有名な「千光寺ロープウェイ」の乗り口脇に併設された神社に出会います。結構珍しいというか。このあと実際に乗るとわかるのですが、ロープウェイはこの土地のほぼ真上を進んでいきます。

 ……ますが、このまま調子こいては夕食の時間に間に合わず、

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 お急ぎ写真を撮りながら宿に戻ります。

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ほんとなら

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もうちょっと

 

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いい写真がいっぱい撮れたのになあなんて

 そんなことを後悔してしまいます。

 海辺に栄えた坂の観光地と申しますれば、「尾道」のほかにも「長崎」なんかを思い出される方がいらっしゃると思いますが、このふたつは似ているようでまるで別物です。尾道は「観光」として在る街の部分がすごくコンパクトで、民家も非常に多く商店街付近を除くととても人間然とした雰囲気があります。そういう部分があるからこそすごく良いなと思ったのですが、「生きているひと」「暮らし」「坂」がなんとなく切り離せないまま不便に続いているようなそんな感じです。
 それと、見た目という点で分かりやすいのはすり鉢状じゃないことでしょうか。長崎はこう、ぐるっとした港湾を放射線上に坂道が伸びており、全体的にすり鉢状の形状をしています。その分夜景すら下から楽しめる利点もあるのですが、尾道の場合は尾道水道向島の存在もあってか割とすべてが直線的に構成されている印象を受けます。川向い同士の街、みたいな。これは全然悪い意味じゃなくて、これもまた見たこともない景色という印象でとても楽しいのです。
 変な猥雑さがないというかなんというか、上手い喩えが浮かびませんね。
 とにかく、こういう場所の街で生まれ育つ少女と長崎という街で生まれる育つ少女が全く別物になるのは、まあ行けば分かるから行け。あとはパリを見て死ぬかバリで死ね。(シロップ五十嵐とGRAPEVINE田中が飲み仲間なのめっちゃ納得っすね

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宿から望む尾道水道です

 夕食写真ないのクソ不備なのですが、というか懐石というシステム上、料理は一品一品を温かく出してくれることが多く、特に夕食だとその撮影をするというのがなんとなく申し訳ないのと、下手したら「全部揃って豪華料理です!」みたいな感じで写真のために冷え切った料理をいただくのが嫌なので、特に旅の途中から旅館夕食の写真は極端に減っています。
 ただ、ひとつ言えるのはこのお宿の夕食が激ウマだったことであります。そもそも割烹旅館であり、じゃらんで夕食評価5.0(5点満点)を受けているのを見てもらえれば分かる通り、力尽くし技尽くしひとつひとつの料理が美味しく出てきます。それもまた、「え、こんな山中の宿で魚介?」みたいなことはなく、地の物に対するとても心地良いツボを突いて調理されたものが出てきます。
 それがなくとも、美しい建物(それゆえ自分の腕ではパチパチ撮れなかった)なので、興味のあるかたはこの宿を画像検索して見るとなかなか感動するような場所です。

 

 翌日、波の音と遠くで聞こえる船の汽笛に目覚める自分。心地よい寝起きというのがどう在るものか感じてしまいますね。

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宿の朝食食うと体調がよくなるぞい

 そうして最終日、宿の朝食を迎えます。まあ、大抵の場合宿の夕食が多いので完食できないことも多いのですが、ここの場合はペロリでしたね。やはり地の物海鮮をメインとしつつも、濃くも薄くもない、身体に沁みる味つけでたまりませぬ。
 あと、美味い宿って酢の物とか漬物全部美味いっすよね。これまさにそれ。

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文化財の天井

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朝のお宿

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ぬこ

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鉄塔

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 というわけで朝のうちに弾丸でもやっておこうとして実際弾丸で「千光寺ロープウェイ」に登ってまいりました。実は街を通るロープウェイに乗る経験は少なかったので結構新鮮でした。
 ロープウェイのゴンドラが交差する写真撮るの好きです。ああいうのって一期一会の極地だし、なにも期待していない顔のお客さんって見ることがないんですね。楽しそうに景色を見るひと、高すぎて下を見るのを怖がる子ども、なんかもう辛抱たまらんとでっけえカメラで外を撮るおっさん。そういうヘンテコではありますがそういうことに「しあわせ」がある、まあちょっとだけ世界のなかでも「やさしい人生の交差点」という感じがします。

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カープ自転車

 美味しい朝食をいただいたものの、予定柄出発は早く(というか同行者がさっさと家に帰って酒飲みたい)というのもありまして、千光寺ロープウェイから展望台までを一瞬だけウェーイして戻りの便で急いで宿まで戻りました。宿に観光用にはカープ自転車の貸し出しサービスもあったのですが、根っからのホークスファンなので丁重にお断りしました。

「竹村家 本館」さんの海に飛び出すような立地や、女将さんの対応も上品でありつつ適度に味があるというか距離を読んで接客してくれる雰囲気、とても好感が持てました。

 当時尾道を賑わせた脱走犯の話も「あれ別に凶悪犯ってノリじゃないし、よく向島から渡ってきたもんやな―と感心したくらいで、街は平穏なもんでしたよー」とニコニコ。もう一度来れたらというか、尾道自体の存在感や距離としての近さもあるので、折を見てまた泊まりに来たいお宿さんになりました。

 あと、群馬で泊まった元ラブホ、ガチで閉業して二度と来れないお宿になってたのさっき知って笑いましたわ。旅は一期一会、だからこそ大切に時間を使いたいものですね。(うまくまとめたな

 

 さて、ここから先ですが福岡への帰路しかなく、長距離な割にトイレ以外で特別SAに寄ったりもせず、事実上の旅日記はここで終わりになります。お家に帰るまでが旅なんですが、まあ無事予定より早いくらいで家まで辿り着き、伊勢志摩で買ったビールを開缶してウェーイ。これにて旅はほんとうの終わりとなります。

 SAで食べたであろうご飯の写真がないあたり大したもの食わなかったなあ感が出ていますがそれはさておき……

 

 

 

 

 お話がそこで終われば良いのですが、ええと、「同行者」と表記していた人物はぼくの父にあたります。実妹か義妹かこだわる勢もいますので答えておくと「実父」ですね。

 この日記、実は「父に読ませよう(ヲタ語っぽいくだりはのちに検閲しながら)」と思って手をつけたものになります。ネット苦手マンでスマホすら持ちたがらない人間ですが、こういうのをきっかけにインターネットの世界でも楽しんでもらえたらと思ったのです。

 ただ、その父ですが、酒飲みゆえに肝臓をガッツリやられて、今年の二月に逝去いたしまして、結局読ませる機会がなくなってしまいました。入院してからおおよその死期を知った一月前後に更新が多かったり、二月を過ぎるとまた更新がぱったり途切れたりしたのは、そういうところもあったりします。
 父は「予算(個人的な土産はともかくね)は全持ちと全行程の運転を自分ですること」を前提として、それ以外の準備や道路選択などはぼくに全任してくれて、父の要求として「強いて言えば都会行きたくない(それは筆者も同じや)」、ぼくは「旅程と予算内での宿の予約、せっかくカメラ買ったし良い撮影頼むぜ」担当だったのですが、旅行自体は全てが良いものではなくて、父のせっかちさに悩まされたりたまに出るデリカシーの無さに閉口したり、夜は相手のいびきに悩まされたりとか、その結果持参した耳栓のパワーを思い知ったりするのですがそれはまた別のお話。

 ただケンカをすることもなく、たぶん父に嫌な思いをさせない旅にはできたのではないかと思いますし、実際、ひとつひとつ見たことのない景色に感動する父を見るのはとても嬉しい体験でした。ことあるごとに母と全国を旅行したいと言っていた父が、それでもぼくと回って楽しかったと行ってもらえたのは、自分にとってとてもいい記憶になると思います。内容はさほど長くなくて、終わりについても色々と自分の本意ではない旅行記ではございましたが、ここまで全てお付き合いしてくれた方がいれば、心からありがとうございます。ちょっとばかりしんみりする内容になったのはこれまた本意でないのと、故人だから肖像権は多少ええやろ判定くだしているのはちょっぴりごめんなさい。

 

 こっからはただのおさかな釣れない釣り日記に戻りますが。腕が悪いのを道具のせいにしてはしけないよ。

 

 実は当然、旅行記を書いている間にも釣りに行く日は当然ありまして、釣りネタ自体はあるのですが、お察しかどうかはさておき釣果についてはなにもネタがありません。

 

 せ~の、次回もどうせ釣れないぞい!!

 次回もつれない男の読み物としてお付き合いいただければ幸いです。